湯を沸かすほどの熱い愛

感想

パワフルな母親である双葉が末期がんであることを告げられ、出て行った夫や問題を抱えた家族を再生させていく物語です。

余命宣告を受けながら気丈に振る舞う双葉を演じる宮沢りえの演技が素晴らしく、病状が進行していくごとに演技だけでなく体中から悲壮感がにじんでいくような姿は普段の双葉の振る舞いが生命力あふれるものだからこそ余計に悲しみを誘うものでもあります。

学校でいじめを受けている双葉の娘、安澄や甲斐性のない夫の一浩と一浩の愛人の娘である鮎子などが双葉によって一緒に暮らすことになり、休業していた銭湯を再開させ不思議な家族が形成されていきます。

宮沢りえだけでなく、個々の俳優の演技力の高さが際立っていることもあり、なんでもないふとしたシーンでも画面に見入ってしまう魅力のある作品だと思います。

また品行方正に生きることの正しさを説いているというわけでもなく、一浩のように双葉とは真逆のだらしない人間が並列で登場するところも面白い作品です。

最近では珍しくなったオリジナル脚本の作品でもあり、監督を務める中野量太の本格的な長編映画デビュー作とも言える作品で、監督の情熱が作品に乗り移ったような映画全体を通して生命力のようなものをひしひしと感じます。

人の死を扱った作品ではありますが、そこばかりに焦点を当てずに人間の強さや未来への希望を浮き彫りにしていく演出は見ていて痛快でもあり、タイトルに偽りのない作品だと思いました。感想